
山形の大地は豊かだ。四季の表情も豊かだ。冬は冬らしくたんと雪が降り、地吹雪が唸りをあげる。この冬の寒さ厳しさが大地を引き締める。山形の漬物が美味しいのはこの冬があるからだ。冬の青菜漬が青々としてしゃきっとしているのはこの冬の寒さがあるからだ。
春は冬の封印から解き放たれ、野山はすこぶる賑やかで豊かな色彩で溢れる。わらびやぜんまい、たらの芽が競って大地に顔を出し、やがて大地は豊かな緑の絨毯に包まれる。野山の花々も個性豊かだ。福寿草が春の訪れを告げ、カタクリの紫が森に彩りを与える。山吹が咲き乱れ、藤の花が林を包む。やがて大地は濃い緑に変わっていく。やがて田んぼにはとうとうと水が注がれ田植えの季節となる。辺りが夕景に変わる頃蛙の鳴き声が一層高くなっていく。
夏は青い山並が空の青さに溶けていく。遥か彼方の空と山の境界がはっきりしない。鬱蒼とした深い森の中に篭れ日が注し、大地は深い息使いをしている。山形の大地の特徴はそこにとうとうと川が流れていることだろう。母なる川、最上川を筆頭に多くの川が流れる。
その川の中でも鳥海山から沸き出る副流水がつくる川は命の川である。この川のひとつに鮭が遡上する。山形の大地は豊かな水でつくられている。ブナの育つ山々から湧き水が流れやがて川となる。
この水はやがて日本海に向かう。
秋は実りの季節である。きのこや栗、あけびが森のあちこちに見ることができる。野山は鮮やかに紅葉し天は高く澄みわたる。遥か上空をトンビが弧を描きその鳴き声はいつまでも空に残る。
山形の大地の四季は凝縮し引き締まっている。その四季の中で人々もまた四季を謳歌し、時には立ち向かう。
