プロジェクトの考え方

総合デザイン開発&プロデュース
東京造形大学 准教授
玉田俊郎
(インダストリアルデザイン)

「ものづくりの熱き想いと技をかたちに」

このプロジェクトのスタートにおいて幾つかの課題があった。まず、何をどのようにデザインし、何を訴求していくのか、これは製品開発上の課題である。次にこのプロジェクトからどのような可能性を引き出し、将来に渡る方向性を導きだすことであった。今後、継続的に活動や組織を拡充し新たなものづくりの体制を作っていく事も重要な課題であった。デザイン開発とプロデュースにおいて、そのポイントとして、私達が具体的な活動の方向性を掴むための総合的なデザイン開発が求められた。それは鍛冶匠のものづくりの世界観を表現し、より深いコンセプトからブランディングを進め、消費者あるいは生活者に商品として提供する一貫した流れを作ることであった。この山形の地において鍛冶匠も含めて深いものづくりと洞察力を有した、ものづくりの担い手が多数存在することを知り、こうした方々と連携することで新たなものづくりの展開が可能となった。

ものづくりは単に目に見えるものだけではない。歴史や伝統、技、想い、こだわりといった背景や意識が強く作用する。この目に見えない無形のリソース(資源)が蓄積している地が山形と言っても過言ではないだろう。

しかし、経済性や合理化、標準化が上記の無形のリソースをむしろ不必要なものとして脇に置いてきた現状がある。そのため、伝統的技で作られたものが、標準化や合理化の衣をまとってその良さが隠れてしまい、逆に消費者から離れたものになっていたのではないか、そんな思いを強くする。

そこで、本プロジェクトではその衣を脱ぎ捨て、本来のものの良さ、作り手の感性がものに反映するデザイン開発を試みた。そして、異業種の山形のものづくりのエキスパートに協力を求めて新たな製品展開を行った。

鍛冶匠新製品の中で詳細が掲載されているが、鎌も従来の鎌の形ではなく、理に叶った新しい形である。盆栽鉢も山形県大石田で地元の土で薪のみで焼いているフランス人陶芸家、ブルーノ・ピーフル氏によるものである。また鍛冶匠バッグは堅牢でシンプルなバッグが持ち味の宗片久弥氏によるものである。

「ワイルド&ハートフル」をキーワードに素材の良さ、鍛冶が持つ野性味と暖かさを引き出すことをコンセプトに現代の感覚にマッチングするものづくりを行った。